業界初のデジタル通信復調対応レシーバーとして大ヒットしたAR-DV1ですが、
その特徴の一つとして、ファームウェアのアップデートによって機能がアップしていく、
ということが挙げられます。AR-DV1が発売されたのは2015年9月でしたが、
以降10回以上のファームウェアの更新が行われています。
例えば、初期のAR-DV1は受信したデジタル信号の復調モードを判断し、
秘話コードがかかっている場合はその秘話コードも判定するという動作をするため
サーチ、スキャンのスピードが遅くなるという弱点がありました。
しかしファームウェアのアップデートによってサーチ、スキャンのスピードもアップ。
現在ではアナログのサーチ、スキャンに近いスピードまで改善されてきています。
AR-DV1のファームウェア・アップデートはお使いになる上で
不都合の無い限り必須ではありませんが、バグ・フィックスや
様々な改良が含まれますので、出来るだけ最新のファームに
更新しておくことをお奨めします。
AR-DV1にはPCからのリモート制御用のマイクロUSB端子が
装備されていますが、ファームウェアの更新はSDカードを
使って行います。AR-DV1で使用可能なSDカードは
32GBまでのSDHCカード(FAT32フォーマットまたはクラスタ
サイズ64KBのFAT16フォーマット)または256MB以上の
SDカード(FAT16フォーマットのみ)となっていますが、
現在では小さな容量のSDカードを入手することがだんだん
難しくなってきています。ファームウェアの更新にはAR-DV1に
付属のSDカードを使用することをお奨めします。16GBや32GB
などの容量の大きなSDHCカードを使用されますと、AR-DV1が
カードを認識するまでに時間がかかりますので、付属のSDカードに
ファームウェアのみを保存してご使用ください。
ファームウェア更新の際には、原則として、サーチ、スキャン・メモリ登録内容を引き継ぎますが、念のためSDカードにバックアップすることを推奨します。バックアップするには[F]キー+[●]キーでSDカード操作画面に入り、BACKUP SET->を選択して[ENT]キーを押し、バックアップしたい項目を選択します。注意していただきたいのは、バックアップの都度、同じファイル名で保存されますので、以前バックアップしていたファイルがそのSDカードにある場合、上書き保存してしまいます。以前バックアップしたファイルを残して新たなバックアップを取りたい場合は別のSDカードに保存する必要があります。
AR-DV1の最新ファームウェアはエーオーアールのオフィシャル
サイトの
AR-DV1ファームウェアアップデート・ページに掲載されています。
まずこちらのページに行き、最新ファームウェアをダウンロード
します。ファームウェアはZIP圧縮されていますので、これを展開し、SDカードにコピーします。今回はこのSDカードを使って右の1510BファームウェアのAR-DV1をアップデートします。
アップデートの際に注意していただきたいことは、ファームウェア更新動作中はAR-DV1の電源を切らないということと、
SDカードを取り出さないという事です。状況によっては
ハードウェアにダメージを与え、動作しなくなる可能性が
あります。本原稿を書いている段階での最新ファームウェアは
1702Dで、アナログ逆トーンスケルチを実装し、D-CRモード
(デジタル簡易無線)のユーザーコード表示に対応したバージョンと
なっています。尚、1512Aとそれ以前のファームウェアとで
若干のデータフォーマットの変更があったため、1510Bから
1702Dへのファームウェアのアップデートの際にはチャンネル情報、バンク情報、その他設定情報が消去されますので、
バックアップを取っておくのは必須です。1510Bのバックアップファイルを1702Dで読み込むことは可能ですが、
逆は不可となっています。
CONFIG 4/4画面に入るとSYS.UPDATE SET->が選択されていますので、[ENT]キーを押すとFIRM UPDATE画面が開きますので、
目的のファームウェアが選択されているのを確認して[ENT]キーを押すとファームウェアの更新が始まります。SDカードに複数の
ファームウェアが保存されている場合は目的のファームウェアを[▲][▼]キーを使って選択した上で[ENT]キーを押して
ファームウェアを更新してください。
ファームウェアの更新が進行中は上図左側の写真のように、進行状況がディスプレーに表示されます。進行中はAR-DV1の電源を
切らないでください。またSDカードを取り出さないようにご注意ください。更新が終了すると自動的に電源がオフになり、再起動
します。再起動画面に新しいファームウェアのバージョンが表示されたら更新は成功です。万が一、電源がオフになったまま
再起動しない場合は、電源プラグを抜いて1分以上経過後に、電源プラグを再度接続してVOL.ノブを押し電源を投入してください。
それでは新しいデジタル通信の世界をお楽しみください。